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プロフェッショナルに訊く 第15回 「ジップロック(旭化成ホームプロダクツ様)」の製品洗浄評価試験事例

オープンタブ付 Wジッパータイプ ジップロック(R)フリーザ―バッグオープンタブ付 Wジッパータイプ
ジップロック(R)フリーザ―バッグ
https://www.asahi-kasei.co.jp/saran/products/ziploc/freezer.html

スライド式ジッパータイプ ジップロック(R)イージージッパー(R)スライド式ジッパータイプ
ジップロック(R)イージージッパー(R)
https://www.asahi-kasei.co.jp/saran/products/ziploc/zipper.html



検査依頼企業:旭化成ホームプロダクツ様
https://www.asahi-kasei.co.jp/saran/
監修:東京農業大学 小西良子教授
検査機関:イカリ消毒株式会社

1. はじめに

イカリ消毒では、実験施設および検査設備を備えており、お客様の目的に応じて、相談・設計・試験を実施する受託試験を行っています。
今回、旭化成ホームプロダクツ様より、取扱製品(ジップロック(R)フリーザ―バッグとイージージッパー(R)) に関する洗浄評価試験のご相談をいただき対応した事例を紹介します。

2. 試験方法

2-1. 材料

●供試品:
ジップロック(R) フリーザーバックMサイズ、イージージッパー(R)Mサイズ
●供試食品:
レトルトカレー、市販カットキャベツ
●供試菌:
大腸菌、黄色ブドウ球菌【混合菌液(食品中の添加菌数約1,000~10,000個/g)】
接種した食品の菌数測定※接種直後および保存後のそれぞれの菌数

フリーザ―バッグフリーザ―バッグ

イージージッパー(R)フリーザ―バッグ

2-2. 菌数の測定方法

●大腸菌:
XM-G寒天培地(混釈培養法)、35±1℃・1日間培養
●黄色ブドウ球菌:
マンニット食塩卵黄寒天培地(MSEY, 塗抹培養法)、35±1℃・2日間培養

2-3. 試験方法詳細

1)各供試菌をそれぞれ標準寒天培地にて35℃・1日間純粋培養した後、それぞれの菌体を滅菌生理食塩水に懸濁し、各懸濁液を等量(15ml)ずつ混合して、供試菌混合液とする。

※供試混合菌液中の菌量:
大腸菌:77,000個/ml、黄色ブドウ球菌:620,000個/ml(カレー)
大腸菌:820,000個/ml、黄色ブドウ球菌:290,000個/ml(カットキャベツ)

2)供試品(ジップロック(R)フリーザ―バッグとイージージッパー(R))に、食材を無菌的に量り取る。(カレー:170g、カットキャベツ:100g)

※供試品1袋につきカレー1袋(具材含む)を使用する。
※菌添加前のカットキャベツ:大腸菌 10個/g 以下、黄色ブドウ球菌 10個/g 以下

3)供試混合菌液を接種し(カレー:1.7 ml、カットキャベツ:1.0 ml)、袋の上からよく揉み込んで混合する。

※保管前の菌量 カレー:
大腸菌 2,600個/g、黄色ブドウ球菌 8,100個/g
カットキャベツ:大腸菌 7,500個/g、黄色ブドウ球菌 5,700個/g

4)空気をできるだけ抜いた状態でジッパーを閉じ、袋の隅々まで食材が付くように平らに広げる。

5)10℃で24時間保管した後、食材を全て取り出す。

※保管後の菌量 カレー:
大腸菌5,600個/g、黄色ブドウ球菌14,000個/g
カットキャベツ:大腸菌240個/g、黄色ブドウ球菌2,200個/g

6)袋の洗浄を下記の条件で行った後、拭き取り検査にて菌数測定を行う。

※洗浄条件:
未洗浄、2回洗浄

2-4. 拭き取り検査方法

①未洗浄の袋内部の拭き取り検査[それぞれ3検体ずつ測定]
[検査項目:大腸菌(XM-G培地)・黄色ブドウ球菌(MSEY培地)]菌数検出限界:10個/g

※「未洗浄」とは食品を取り出した状態(残渣は付着)


②洗浄後(2回洗浄)の袋内部の拭き取り検査[それぞれ3検体ずつ測定]

●拭き取り箇所
袋を開き、ジッパー部、中央部、底部の3箇所について、10cm×10cmとなるように、菌数測定(拭き取り検査)を行う。

3. 試験結果

菌数測定
▼カレーを保存した場合

●ジップロック(R) フリーザーバッグ Mサイズ

●ジップロック(R) フリーザーバッグ Mサイズ

●ジップロック(R) イージージッパー(R) Mサイズ

●ジップロック(R) イージージッパー(R) Mサイズ

▼カットキャベツを保存した場合

●ジップロック(R) フリーザーバッグ Mサイズ

●ジップロック(R) フリーザーバッグ Mサイズ

●ジップロック(R) イージージッパー(R) Mサイズ

●ジップロック(R) イージージッパー(R) Mサイズ

※結果の数値は、拭き取り面積当たりの菌数を示します。
※「検出されず」は、今回の検査方法にて微生物が検出されなかったことを示します。

3. まとめ

食中毒菌のモデルに使われている特定の菌(※)をあらかじめ均一に混ぜた食品をフリーザ―バッグとイージージッパー(R)にいれ保管したのち、食器用洗剤を用いてスポンジ洗浄を2回行い乾燥させた結果、混ぜた特定の菌(※)が検出されないことを確認できました。
※大腸菌:Escherichia coli(NBRC3972)、黄色ブドウ球菌:Staphylococcus aureus(NBRC12732)

監修者プロフィール

監修者プロフィール 麻布獣医科大学獣医学部獣医学科卒業後、東京大学大学院農学系研究科で農学博士を取得。その後27年間にわたり、厚生労働省の国立予防衛生研究所、国立感染症研究所および国立医薬品食品衛生研究所で、食品衛生法に関する規格基準策定の科学的根拠に資する研究を行う。2013年4月~2020年3月、麻布大学 生命・環境科学部 食品生命科学科 食品安全科学研究室 教授。2020年4月より東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 教授を務めている。日本食品衛生学会 前会長、イカリ消毒株式会社顧問。