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ノロウィルスにご用心!

ノロウィルス

近年急増しているノロウイルスによる胃腸炎には、食品を介して感染する場合(食中毒)と食品を介さず人から人に感染する場合(感染性胃腸炎)がありますが、どちらも冬季に急増することが特徴です。
ノロウイルスは少ない量で感染するため、食中毒予防のためには食材の充分な加熱とともに、手や器具を介した2次汚染の防止が重要となります。また、感染性胃腸炎の場合は、発症者の嘔吐物や糞便から大量に排出されたウイルスが周辺環境や手に付着し、食事の際や手が口に触れた際にウイルスが口から侵入して感染を引き起こします。

ノロウィルスの特徴

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ノロウイルスは、電子顕微鏡で観察できる程非常に小さく直径約38nm(ナノは10億分の1)前後のタンパク質でできた球の中に遺伝子(RNAリボ核酸)が包まれた構造をした球形の生物です。多くの遺伝子型が存在しますので、一度感染したからといって次に感染しないとは限らず、何度でも感染します。
1997年食中毒菌として指定され、以前は小型球形ウイルス(SRSV)と呼ばれていましたが、2002年に『ノロウイルス』と名称が変わりました。

  • 100粒子以下の少量のウイルスで感染します。
  • 低温下の水中では2週間以上生存し乾燥状態でも2週間以上生存すると考えられています。
  • 発生状況では11月から4月までの冬季に多発しますが、夏季でも発生しています。
  • 食品は中心部が85〜90℃で90秒間以上、加熱すること。
  • ノロウイルスは食品や環境中では増殖できません。

主な感染経路

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ノロウイルスの主な感染経路は以下の通りです。

  1. 魚介類、カキなどの二枚貝などを生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
  2. 食品取扱者が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
  3. 汚染された食材から調理器具や手指を介して汚染された食品を食べた場合
  4. 食品を介さずに人から人へ感染する場合

    (発症者や保菌者の糞便や吐物から大量に排出されたウイルスが手指や器物を介して感染を引き起こす)
    老人福祉施設、学校、保育園、幼稚園などの集団生活の場で発生しやすい

特に、食中毒では上記2のように食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を原因とする事例が近年増加傾向にあります。また、4のように感染症の原因にもなります。このような多彩な感染経路が大流行に至った大きな要因です。

◎冬に多発するノロウイルス食中毒

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ノロウイルスは食中毒による患者数が最も多い食中毒菌です。他の食中毒菌と異なり、冬場に多発しています。 二枚貝などの消費量が増えることと、ウイルスが乾燥や寒さに強いことから冬場に多く発生するといわれています。

◎ノロウイルス食中毒の原因サイクル

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人の腸内で増殖したノロウイルスは体外に排出され、河川・海に流れ込み、二枚貝の内臓に濃縮されます(貝の体内では増殖できません)。またウイルスを保菌した食品取扱者の手が汚染され、手洗いが不十分な状況で食品や調理器具を取り扱うことで、食品を汚染します。いったん食中毒が起きると人から人へ感染する危険性が拡大します。

症状

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  • ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、人の腸管で増殖、吐き気、おう吐、下痢、腹痛、軽度の発熱などを起こします。
  • 潜伏期間(感染から発病までの時間)は24〜48時間で、発病した場合の治療法は、通常対症療法しかありません。
  • 発病から1〜2日程度で治癒しますが、ふん便からのウイルスの排出は下痢などの症状がなくなっても、 通常では1週間程度、長い時には1ヶ月程度ウイルスの排出が続くことがあるので、症状が改善した後も、しばらくの間は直接食品を扱う作業をさせないことが大事です。
  • ウイルスの保菌状況は検便によって確認することができます。ノロウイルス検便の検査方法についてはこちらまでお問い合わせ下さい。
  • 感染しても全員が発症するわけではなく、かぜのような症状で済んでしまう人もいます。

〈参考資料〉厚生労働省ノロウイルスに関するQ&A

発症した!!あるいは感染の疑いがあるとき

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  • すぐに医師に診察してもらい、適切な処置を受ける必要があります。
  • 効果のある抗ウイルス剤は現在のところありません。
  • 自己判断で下痢止めの薬などを飲まないようにしましょう(回復を遅らせることがあります)。
  • 乳幼児や老人では脱水症状や体力の消耗を引き起こすこともあるため、水分と栄養の補給を充分に行う必要があります。
  • 下痢や嘔吐の自覚症状があるときは食品を直接取り扱わないようにしましょう。

予防のポイント

◎加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱する

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カキなどの二枚貝を食べるときは「生食用」のみ生食できます。「加熱調理用」の場合は、必ず表示に従い十分加熱しましょう。

◎調理器具を衛生的に扱う

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カキなど二枚貝を調理する際にウイルスが調理器具につくことがあります。専用の調理器具を使うか、よく洗い熱湯消毒などを行って調理に使いましょう。ノロウイルスの消毒は次亜塩素酸ナトリウムや加熱処理が有効です。調理器具などは洗剤を使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム200ppmで浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。また、まな板・包丁・へら・ふきん・タオルなど加熱が可能なものは熱湯消毒します(85℃1分以上)。

◎患者の吐いた物や便の処理に注意

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特に、ノロウィルスに感染した人のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるため、大量調理施設の食品取扱者がノロウイルスに感染していると、大規模な食中毒を起こす可能性があります。
使い捨て手袋やマスクを着用し、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム1000ppm)等で消毒しましょう。吐ぶつが乾燥するとウイルスが飛散して感染することもあるため、乾燥する前に処理することが重要なポイントです。

◎手洗いを励行する

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手軽にできる予防方法として手洗いが重要となります。特に調理の前、食事の前、トイレに行った後、下痢などの患者の汚物処理やオムツ交換などを行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)には必ず行いましょう。
常に爪を短く切って、指輪をはずし、石鹸を充分泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオルまたはペーパータオルで拭きます。
石鹸自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪などを落とすことにより、ウイルスを手指から除く効果があります。

《正しい手洗いのポイント》

ウイルスを丁寧な手洗いで洗い流しましょう。

  • 清潔な石鹸を使って丁寧に洗う(出来れば2度洗い)
  • 流水で洗い流す
  • 共用タオルを使用しない